Obsidian は無料のメモアプリです。ここではメモ術ではなく、 AIと一緒に使うための置き場所の作り方を説明します。 ダウンロードから順を追って書くので、まだ使ったことがなくてもそのまま進められます。
AIを使っていると、必ずこれにぶつかります。
パソコンにメモを保存するアプリです。似たアプリとの一番の違いは、 保存されるのがただのテキストファイルだという点です。 アプリ独自の形式ではなく、パソコンの中のふつうのフォルダとファイルとして置かれます。
これがAIと組み合わせるときに効きます。AIはそのファイルを直接読めますし、 将来Obsidianを使わなくなっても、中身は手元にテキストとして残ります。
| 項目 | 費用 | 必要か |
|---|---|---|
| アプリ本体 | 無料 | これだけで足ります。仕事で使う場合も無料です |
| Obsidian Sync | 月4ドル〜 | 複数の端末で同じメモを見たい場合のみ。パソコン1台なら不要 |
| Obsidian Publish | 月8ドル〜 | メモをWebサイトとして公開したい場合のみ。ふつうは不要 |
アプリ本体は個人利用・商用利用のどちらも無料です。会員登録も不要で、 ダウンロードしてすぐ使いはじめられます。
Obsidianで書いたノートは、.md という種類のファイルとして保存されます。
Wordなら .docx、Excelなら .xlsx
にあたるものだと思ってください。
ひとことで言うと文字だけが入ったファイルです。 Wordのように「文字を赤くした」「フォントを大きくした」といった情報を一切持たず、 中身は打った文字そのものだけ。だから軽く、どのパソコンでも開けます。
md はマークダウン(Markdown)の略です。
文字だけのファイルでも見出しや箇条書きを表せるように、
記号を使った簡単な約束事が決まっています。よく使うのは次の5つだけです。
| 書きたいこと | 書き方 | 表示のされ方 |
|---|---|---|
| 見出し | # 今日の打ち合わせ | 大きな見出しになる |
| 小見出し | ## 決まったこと | ひとつ下の階層の見出しになる |
| 箇条書き | - 納期は月末 | 行頭に点が付いて並ぶ |
| 番号付き | 1. 見積もりを送る | 1. 2. 3. と順番が付く |
| 太字 | **重要** | 太字になる |
記号を1つも使わず、ふつうの文章を書き並べるだけでも何も問題ありません。 Obsidianは打った記号をその場で見た目に反映してくれるので、 使ううちに手が勝手に覚えます。
見出しや箇条書きを使うのは、自分が後から読み返すときに分かりやすいから、 という理由だけです。最初は気にせず書いてください。
ファイルを自分で作る必要もありません。Obsidianで新しいノートを作れば、
自動的に .md として保存されます。
拡張子を意識する場面はほとんどないはずです。
そして将来Obsidianを使わなくなっても、メモ帳やテキストエディットでそのまま開けます。 アプリに閉じ込められないのが、この形式の一番の安心材料です。
一見地味な形式ですが、AIに渡すものとしてはこれが一番扱いやすい形です。理由は3つあります。
# が付いていれば見出し、
- が並んでいれば同列の項目、とAIが構造を読み取れます。
見た目の飾りではなく意味の目印として働くので、
長いメモでも要点を取り違えにくくなります。
よく比べられるのがNotionです。どちらが優れているという話ではなく、 得意なことが違います。
| 比べる点 | Obsidian(mdファイル) | Notion |
|---|---|---|
| 保存場所 | 自分のパソコンの中 | Notionのサーバー(ネット上) |
| AIへの渡し方 | フォルダを指定するだけ | 連携の設定をするか、コピーして貼る |
| 見た目・操作性 | 素っ気ない | きれいで扱いやすい |
| 複数人での編集 | 苦手 | 得意 |
| 表やデータベース | 簡単な表まで | 並べ替え・絞り込みまでできる |
| サービスが終わったら | 手元にファイルが残る | 書き出し作業が必要 |
Notionも連携(コネクタ)を設定すればAIから読めます。ただ、設定の手間がかかるうえ、 毎回ネット越しに取りに行くことになります。 手元のファイルなら「このフォルダを読んで」の一言で済むので、 AIと何度もやり取りする作業ファイルほど、Obsidianのほうが軽快です。
AIに読ませて働かせるもの——作業メモ、決定の記録、調べたこと——は Obsidianに置く。 人どうしで見せ合うもの——共有資料、タスク管理、顧客リスト——は Notionのようなツールに置く。この線で分けると迷いません。
ここから順番に進めれば、30分ほどで使える状態になります。
work、場所は書類フォルダにしてください。
名前は後から変えられますが、場所選びだけは失敗すると面倒なので、
理由は次の章で詳しく説明します。
00_inbox の中に、何でもいいのでメモを1つ作ります。
使い方を覚えるための練習ではなく、空のままにしないためです。
空のフォルダは、そのまま使われなくなります。
work フォルダの場所を伝えて
「この中のメモを読んで、内容を要約して」と頼んでみてください。
ここまで来れば導入は完了です。
ここが一番つまずくところです。置き場所を間違えると、AIがファイルを読めません。 理由も含めて説明します。
| 置き場所 | 評価 | 理由 |
|---|---|---|
| 書類フォルダの中 | おすすめ | パソコンの中に確実に実体がある。AIから読める。場所も分かりやすい |
| クラウド同期フォルダ | 注意が必要 | iCloud・Dropbox・OneDriveなど。下記の落とし穴あり |
| デスクトップ | 避ける | 他のファイルに埋もれて、見た目が散らかる |
| ダウンロードフォルダ | 避ける | 整理のときに誤って消す危険がある |
iCloud や OneDrive には「使っていないファイルはパソコンから消して、 クラウドにだけ置いておく」という容量節約の機能があります。 この状態のファイルは見た目はあるのに実体がないため、 AIに読ませようとしても読めません。
また、複数のパソコンで同時に開くと、同期がぶつかってファイルが二重になることがあります。 複数の端末で使いたい場合は、クラウドに置くのではなく Obsidian Sync (月4ドル〜)を使うほうが安全です。
パソコン1台で使うなら、書類フォルダの中に置くのが一番確実です。 あとからでも、フォルダごと移動して Obsidian で開き直せば場所は変えられます。
番号付きの7フォルダに落ち着きました。 番号は並び順を固定するためだけのもので、深い意味はありません。 迷ったら、この形をそのまま使って大丈夫です。
| フォルダ | 入れるもの | 判断の目安 |
|---|---|---|
| 00_inbox | とりあえずのメモ | 行き先を考えたくないときの避難先。ここが空である必要はない |
| 10_projects | 終わりがある仕事 | 「いつ終わったと言えるか」が言えるならここ |
| 20_areas | 終わらない役割 | 経理、健康、自社サイトなど。ずっと続くものはここ |
| 30_resources | 調べたこと・参考資料 | 自分の仕事とは直接関係ないが、後で見たいもの |
| 40_archive | 終わったもの | 消さずにここへ。判断の記録は後から効いてくる |
| 90_templates | 書き出しの型 | 議事録・案件立ち上げなど、毎回同じ形で書くもの |
| daily | その日のメモ | 日付だけのファイル。整理しなくていい場所を1つ持っておく |
分類に悩む時間がいちばんもったいないので、
迷ったら全部 00_inbox に置くと決めています。
きれいに整理された空のフォルダより、雑然としていても書かれたメモのほうが価値があります。
置き場所ができたら、AIの使い方は3つに整理できます。順番に難しくなりますが、 1つ目だけでも十分に効果があります。
特別なプラグインも連携設定も使っていません。 ふつうのフォルダに置いてあるテキストファイルなので、AIに読み書きさせるだけで成立します。
メモには、請求書の金額や固定費、取引先の連絡先といった、 人に見せられない情報が自然と混ざっていきます。 そこへ「このフォルダ全部読んで」とやると、意図しないものまで渡すことになります。
なので書きはじめる前に、読ませてよいものとそうでないものの線を引いておきます。 あとから混ざったものを仕分けるのは、かなり骨が折れます。
うまくいったのは、次の2つを守ることでした。
公開リポジトリに置くファイルと、手元だけに置くファイルを分けるのと同じ発想です。 AIに渡す範囲も、最初から決めておけば迷いません。
そのときは保管庫をもう1つ作って分けるのが確実です。 画面左下の保管庫アイコンから「新規保管庫を作成」を選べば、いつでも増やせます。 以後は同じアイコンで行き来できます。
最初から2つ用意する必要はありません。 仕事用の1つで始めて、必要になった時点で分ければ十分です。
40_archive へ。
消すのではなく移すだけなので、判断に迷いません。
AIは前回の会話を覚えていないので、覚えておいてほしいことは会話ではなくファイルに置きます。 置き場所さえ決めておけば、使うAIが変わっても担当者が変わっても、記録は手元に残ります。 Obsidianはそのための入れ物として使っています。
同じ .md ファイルを使って、
AIに「仕事の進め方」そのものを覚えさせる方法もあります。
そちらは 「skills」ってなに? にまとめました。